はりねずみのワインセラー

「これ飲んだな美味しかったな」「これ飲んでみたいな気になるな」を集める架空のワインセラーです。

【イタリアワイン紀行】Nada Fiorenzo

Albaに行き、Nada Fiorenzoという赤ワインのみ作っているワイナリーに行きました。

以前、東京で飲んで美味しいと思ったことがあり気軽な気持ちで行くことにしたのですが、想いの外、濃い経験をしました。まだ頭の中が整理できていないので、書けることが少ないのですが、そのまま書いておきます。

スローワイン、というカテゴリになるようで、たくさんの賞を取っているワイナリーです。今回はDaniloさん(息子さん)とお父様Brunoさんと一緒に見学や比較試飲ができ、本当にリッチな経験をしました。

 

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ステンレスタンクを使うのですが

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その後にこんなに大きなスラヴォニア製の樽に入れて熟成されているというのはびっくりしました。実際に、大樽、と言われているものを見たのは初めてでしたが、人がすっぽり入ってしまうサイズです。

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フレンチオークの樽で寝かされているものもあり、いろいろな方法で、同じ年の葡萄が違った過程で違うワインになっていきます。

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2015年のBarbarescoを3種類と2006年のBarbarescoの比較では、全て違う香りと味がたしかにしました。ただ言語化する訓練をしていないので、なんと表現していいのかわかりませんでした。それに、香りに浸っていたい気持ちになってしまい、黙ってしまうことが多くなりました。

 

ワインには、会話がしたくなるものと、瞑想・内省したくなるものがあると思います。

もちろん、料理とともにわいわい楽しむ、テンション上がるワインは大事です。でも、その香り一つから、時空を超えて冒険できる、そういうワインも実際にあり、貴重なことだと思うのです。そういうものの良さを、どう友人に伝えるか難しいです。なぜなら、その経験は個人にあるというか、共有するものではない気がするからです。

 

香りは何に喩えられ、味は何料理に合うのか。そんな会話が途中からついていけなくなるほど、思考がぐるぐる回っていろいろなことを思い出したり考えたりし始めていました。言い尽くされているとは思いますが、まさにプルーストのかの小説的な世界です。このような個人的体験を超個人にする言葉を語れる詩的空間について。1本のワインから浮かび飛び回る思考をとりとめなく語り合う社交について。これらはまだ私にとって手の届くものではないのではないかと思いました(つまり私はまだ、どんな食事に合わせるとかどんな相手と飲みたいとかそういうことの次元に立っていますし、おそらくこれからもそこにいるのではないかと思うのです)。

 

ピエモンテ州というのはフランスとゆかりのある土地と文献で読みましたが、先のように感じるものもそういうことなのでしょうか。謎が多かったです。それでもどこかその謎に惹かれる、ネッビオーロはまさに霧のようにつかめず気難しさの中にありました。1泊で通り過ぎるにはあまりに難しかったので、また機会を作りたいと思います。