【イタリアワイン紀行】La Ciau del Tornavento
栃木県塩谷郡高根沢町にある「イタリア食堂 ヴェッキオ・トラム」の照井シェフにご紹介いただき、アルバの1つ星レストラン、「La Ciau del Tornavento」に行ってきました。
照井さんは、私がイタリア料理に興味を持ったきっかけの1人です。イタリア料理には北と南、とか、ピエモンテ料理、とか、文化の違いがあるということを気づかせてくれた人でした。私は小学生の頃から、かなり良いイタリアンレストランに行く機会があったのですが、その頃はイタリアン、という一括りでしか見られていませんでした(今思えば私が行っていたのは北イタリア料理のお店ばかりでした)。
バーニャ・カウダは実はイタリア全土で食べられているわけではないとか、ピエモンテにトンナートソースというのがあるとか、そういうことを聞いて、行ってみたいなあとよく行っていました。実際にイタリアに行くまでにはそれからもう何後押しか、してくださった方々があり、それで今があるわけです。
照井さんに、イタリアについに行ったよという報告を昨年したときは、今頃ですか(笑)と言われました。それでも、照井さんが修行をされたピエモンテには去年は行かなかったので、いまひとつ、照井さんの料理や新しく下野花岡で始められた活動の根幹、あるいは背景にあるものを飲み込みきれずにいました(もちろん興味深いと思っていました。これについては非常に多くのことを書く必要がありますが、現在の仕事においての研究意識にもつながっているところです)。
さて、私にとっては、生きるということと働くということは非常に一体となっています。つまりワインについて考えることも、食べることも、料理することも、旅をすることも、全てが研究(私の仕事は研究職です)に繋がります。私の研究手法はフィールドワークで、人の人生に関心があります。その人がどうやっていまそこにいるのか、興味があるわけです。
というわけで、どうしても、Alba地方に行ってみたかったのです。そして、それは白トリフの時期である必要はそこまでなく、どちらかというと、ハレとケならケの時期が好ましくありました。
教会の隣にそのレストランはあります。もとは幼稚園だった場所だそうで向かい側には公園、その先にはワイン畑が見渡せます。
一番定番のコースをお願いしました。
ワインは白を2杯、そのあとにこのレストランの近所のワイナリーのBarbaresco 2009をお願いしました。なんとそのファミリーは私の後ろでバースデー会食をしていました!(ボトルの写真を撮りそこねてしまいました、、名前が思い出せず残念です)。
とにかく美しいです。
Agnolotti del plin、というパスタです。これは、Nada FiorenzoのDaniloさんにも、食べた方がいい!と言われていて楽しみにしていました。
これは2種類の調理方法で作られた鶏肉の料理 Caprettoです。
絶品のデザートです。こんなに美味しいデザートがあるのか、と思いました。
食後にワインセラーを見せていただきました。
何人もの方から、「すごいセラーがあるから見た方がいい」と言われていたのですが、想像はゆうに越えていました。
イタリアのワインだけではなく、フランスの信じられない高級ワインが山のようにありました。
いくらのボトルが最高金額ですか?というような質問をしている人がいましたが、明白に高価なフランスワインが金庫のようなところに並んでいることよりも、イタリアのマグナムボトルに心奪われました。
18時半からの夕食でしたが、なんと店を出たのは23時をまわっていました。それでも大丈夫、隣に宿泊がついているのです。これは、日本ですと民宿に近いのかという意見がありました。私は大学生のとき、ボーヌでこういうスタイルのオーベルジュに泊まり、感銘を受けたことがあります。食べるために旅をするというのにうってつけだと思いますし、わざわざ行く、ということ、そして景観は、食事の素晴らしいスパイスになります。
翌日は朝食を食べました。9時半からの朝食なのに、優雅すぎてこれは朝から飲ませる気か(笑)と思いました。帰りの列車チケットが決まっていなかったら、だらだら過ごしてしまいそうでした危ない。
ものすごい美味しいオムレツ(ハムとチーズ入り)
ピエモンテのチーズ
りんごのケーキ
とにかくすごくよい経験でした。
しかしながら、東京で入っているレストランと価格が違うというわけでないのに、緊張しました。まだここで食べていいような気がしませんでした。一方で、1歳のお誕生日祝いをしている子どもをはじめ、小さい子どもたち、赤ちゃん、品のある年輩のご夫婦、とにかくお客様が本当に素敵でした(金曜日の夜に行けて本当によかったです!)。
良いレストランには素敵なお客様がいる、やっぱりそうなんだなと思いました。そして、いろいろな世代の人が食事を楽しんでいる姿に、心を打たれました。
メニューがどうの、味がどうの、というよりも、こういった空気感が私にとって財産になると思いました。
■La Ciau del Tornavento
■照井さんのお店